セキュリティソフトのプロモーションについて考える(序説)
シマンテックが、「ノートン・インターネットセキュリティ 2008」「ノートン・アンチウイルス 2008」の発売に合わせて、ヒーローキャラクター使ったプロモーションを行ったそうだ。
Internet Watch
ネットの平和を守るサイバー戦士「ノートン・ファイター」登場
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/22/16970.html
シマンテック
ノートンファイターの公式サイト
http://www.nortonfighter.com/
(いや、ここはどうなんだ、今後に期待か)
こういうのを見ると、パソコンやインターネットの普及速度に対して、セキュリティ管理への意識向上は、とても遅れているのだろうなと思う。ここまで分かりやすくしなければならないのか、とか。
いや、セキュリティソフトをヒーロー戦士に喩える、その設定やストーリーは意外によく出来ていて、それなりに分かりやすいし、こういうプロモーションも重要だとは思う。ただ、微妙に比較広告になってる部分があって、そこは引っかかるといえば引っかかるんだよなあとか思った。
前記のInternetWatchのニュース記事によると、ノートンファイターのショーの中で、
最新のウイルスは手口が巧妙化している。彼らセキュリティソフトは、ウイルスの表面的な(アスキーアートの)笑顔にまんまと騙されてしまう。「ひっひっひ、俺たちウイルスは日々進化しているんだよ。お前たち古いセキュリティソフトに見破られてたまるか!」。
というシーンがあったそうで、分かりやすくするのはいいけど、今や、どこのセキュリティソフトも、頻繁なアップデートは当たり前なわけで、まるで、そこがシマンテック製品の魅力のような紹介の仕方では、セキュリティソフト全体に対しての誤解を広げることになるような気もする。そういうストーリーで行くなら、むしろ、ウィルスではない方向からの新たな敵の登場とか、新しいウィルスに対するノートンファイターの新しい攻撃方法とか、そこまで練って欲しいと思う。
ここまでしないと分かりやすくならない、というのなら、簡略化するのではなく、正しい意味で、分かりやすくすることが重要だと思うのだ。
G-DATAでは、一つ前のバージョンで、サッカーのゴールを、二人のゴールキーパーが並んで守っているポスターをプロモーションに使っていた。二つのアンチウィルス用エンジンを搭載していることを端的に表したのだと思うのだけど、これはこれで、二人いるから鉄壁というイメージより、むしろ二人いたら、かえってお互いが邪魔になったりしないかとか、そんな事が気になってしまう。
元々、二種類のエンジンを搭載というのは、何故、他のメーカーは採用しないの?と思うくらい、理にかなった方法だと思うのだけど、その「何故、他メーカーが採用しないの?」という疑問の答えが、二人ゴールキーパーのポスターで見えてきてしまったような気がしてしまう。これ、横に二人並ぶのではなくて、前後に二人だと、鉄壁感が増したと思うのだけど、広告って、そういう問題ではないのだろうか。
マカフィーでは、パッケージデザインが比喩になってて、これはこれで面白い。アンチウィルス機能のみの「マカフィー・ウイルススキャンプラスwith サイトアドバイザ」では、娘が一人で利用しているイメージ、インターネットセキュリティ機能をプラスした「マカフィー・インターネットセキュリティスイート with サイトアドバイザ」では夫婦が二人で利用、そして「マカフィー・トータルプロテクション with サイトアドバイザ プラス」では、家族三人が安心して利用しているというイメージになっている。
これも、確かに、何となく分かりやすいんだけど、よく考えたら、その機能は、別に娘用、夫婦用、家族用というわけではない。三つ並んでたら、うっかり「子どものパソコンに入れるセキュリティソフト」だと思って、「マカフィー・ウイルススキャンプラスwith サイトアドバイザ」を買う人とかいそうな気もする(いないか)。
カスペルスキーは、今年も、強面風に撮影されたカスペルスキー氏の顔のアップだけど、これもなあ。元KGB=強面=頼もしい、みたいなイメージを考えてると思うのだけど、本人の実物は、いたって感じの良い、ほがらかなムードさえあるおじさんだし、無理に作ったキャラだと思うと逆効果にならないかとか思う。まあ、インパクトはあるし、責任者の所在がはっきりしてる感じがして、それは悪くないけど。
トレンドマイクロは、あまり、はっきりしたコンセプトが無い感じ。少し前までは薬のイメージを前面に出してたと思うんだけど、最近は抽象的な感じだ。一方、ソースネクストは徹底的に「0」を打ち出してる。まあ、「分かったから、それは」とか思うけど、最大の特徴を前に出すというのは悪くないのかも。そういう部分にも予算をかけずに安くします、という主張もあるのかもしれない。
パッケージやプロモーションを並べるだけでも、何だか足並みの揃わない業界だなあと思うけれど、それくらい、まだユーザーにセキュリティソフトの役割が届いていないのだろう。むしろ、ユーザーの幅が広がり、人数が増え、かつての、まだコンピューターウィルスが知られていなかった頃に、状況としては逆戻りしているのかも知れないとも思う。シマンテックの「ノートンファイター」が、海外のシマンテックでも反響があったと言う様に、もう、何か世界的にベタなところから、プロモーションを行わなければならない状況なのではないか。
だからこそ、ベタならベタで、しっかりと、安易な簡略化ではなく、抽象的に逃げるのではなく、分かりやすく、しかも正確に伝わる比喩なりメタファーなりを用意してほしいと思う。ちゃんとライターとか使えば可能だと思うんだけどなあ。

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監視と自己責任